『三成伝説』というタイトル-Making of MITSUNARI LEGEND (1)-2010/01/09 18:14


 「三成伝説」というタイトルには、異論があった。


 伝説、という言葉には、なんか、信憑性がない、怪しい、いかがわしい、という負のイメージがつきまとう。

 このタイトルは元々、「インパクトのあるタイトルを!」という出版社側の提案によるものという認識でいいたが、後で出版社担当のY氏に聞いたところ、Y氏も反対だったということなので、どうも出版社専務一人の発案・推薦だったようである。
 なにか「三成伝説」に変わるタイトルを、と会員間でも話し、中には好いタイトルの提案もあったのだが、なかなか「伝説」を越えるインパクトのあるタイトルは出なかった、というのが実情だ。

(ちなみに元々の私の案は、「石田三成史跡ハンドブック」であった。これは確かにインパクトがない。)

 元々、サンライズ社の専務に本のポリシーを話しに行った時、こういうことを話していた。

「三成に関する史跡の中では、由来がはっきりせず、史実として三成に繋がるのか怪しいものもある。
 だが、そういう史跡でも、そこに「三成」という言葉が出てくる以上、そこから三成に思いを馳せた人たちが過去に存在していたはずである。
 例えば秋田に「三成の墓」と伝えられるものがある。これが三成本人のものでないことは確かだが、そういう伝承がある以上、そこで三成を偲んだ人たちがいたのではないか。そういう史跡もとりあげて紹介したい。」

 そういう主旨からいえば、「伝説」というタイトルは似つかわしいと言えなくもない。
 また皆で「伝説」というタイトルを仮題として使っていったところ、何となくそのタイトルが馴染んできてしまったという事情もある。

 そうして「三成伝説」というタイトルが決定されたわけだ。

 今はこう思っている。

『三成には負の伝説がある。
 江戸期の長い迫害と中傷の中で作られた虚構の「伝説」だ。
 その伝説の嘘を暴きたい。
 また三成には隠された正の伝説がある。
 これも江戸期に、三成を慕う人の中で表に出せず、秘かに語り継がれた伝説だ。
 そういう伝説を掘り起こしたい。

 この本の「伝説」というタイトルにはそういう二つの思いが篭められている。』

この意見が単なる後付けの説明かどうかは、読んだ方に判断してほしい。




日経にオンライン三成会が紹介されました2010/01/14 13:08

1/13日付けの日経新聞文化欄で、オンライン三成会が紹介されたことで、入会希望のメールを多数いただいている。
ありがたいことである。

新聞では思いのほか大きな扱いで私自身も驚いた。
この文化欄は長く地道な活動をしている人物・団体を多くとりあげているようだが、オンライン三成会も10年に渡って活動を続けているという成果を評価いただいたものと思う。これも大変ありがたいことである。

長く続いた理由は、やはり石田三成を追い求める人間の集団である、メンバーのベクトルが一致している、というのが何よりと思う。
ただそうは言っても、個々のメンバーがもつ三成像は微妙に違う。三成に惹かれる理由も異なる。
そういった中で会が続いてきたのは、会発足当初の頃からのメンバー、(び)さん、(お)さん、(ぬ)さん、(し)さん、(い)さんらの存在が大きい、と感じる。
私自身はそう求心力のある人間ではないので、こういう方々が中心になって会を続けていった。

佐和山城研究会を立ち上げた(び)さんのように、オンライン三成会を一つのステップにして、その人の繋がりから活動の幅を広げる人が出てくれるのも嬉しい。
記事にはならなかったが、取材の中で私が強調したことの一つに、オンライン三成会の最大の意義は、三成を追い求める人たちの一つを繋げるための節点になることだ、ということがある。
ネットの繋がりなので、人間関係は網の目のように広いがっていく。そのWebの一つの節にオンライン三成会がなればいい。もちろん節点は一つである必要はない。それを基に新たな人間関係が多くできれば会の意義がある。

この10年、三成の評価はずいぶん変わった。
次の10年にどう変わるかは分からないが、その間も三成ファンの一つの接点としてこの会を続けられたらと思う。